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彼はいつも彼らにお金を取られている

 彼はいつも彼らにお金を取られている。そんなに大した額ではない。ちょっとしたゲームに払うお金や、パンや、飲み物代だ。ここ2カ月くらい彼は毎日お金をとられている。では彼は立ち上がり、反抗を行うほうがいいのだろうか。なぜ彼はそうしないのだろうか。もちろん彼が正面から戦いを挑んでも勝ち目はないだろう。しかし不意打ちで後ろから棒で殴ったり、あるいは彼らの家にガラス瓶を投げ込むことはできるはずだ。でも彼はそうしない。きっとたかだか小さな子供のお小遣い程度の金額を払えばそうしなくても済むと考えている。それはとても合理的だ。誰が彼を責められる?彼はやはり「腰ぬけ」かもしれない。でも彼は合理的だ。この教室には彼の代わりにそうした「ちょっとしたこと」を代わりにやってあげる慈悲深い人間はいないし、彼も事件にはしたくない。彼らの暴力的なシステムは意外と良くできている。そして彼はこれまで2カ月コツコツと積み上げた取り返しの付かないコストに悩まされる羽目になる。彼は交通事故にあった人間のように運の悪い奴なのかもしれない、そんな風に皆は思っていた。僕は、そんな風に経済と感情の関係について考えていた。きっとみんな各々に、そうやってやり過ごそうとしていた。でも彼女は違った。[続]